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2007年08月26日

柴田淳「ぼくの味方」歌詞レビュー

「ぼくの味方」(「オールトの雲」より)

 
かけがえのない大切な人 守ってあげたい そばにいたい
 そんな風に思える君に出逢えた
 ガラスのような君だった


☆言わずと知れたしばじゅんのデビューシングル曲である。

 典型的な美少女風ルックスのしばじゅんだが

 男の子口調と視線の歌詞が意外に多い。

 決して「女」を全面に出したSSWではないのだ。

 原点と思われる「ぼくの味方」はその典型。

 彼女が自分をただ男性に見立てて唄っているのか

 それとも全くの他人の気持ちを唄っているのか

 解釈の分かれる所だろう。

 このレビューでは、こういう仮説を立てたい。

「君」はデビューしたばかりのしばじゅんである。

「ぼく」はこれから出会うファンである。

 そう解釈すると、しばじゅんの魅力にやられたファンには

 すんなり受け入れられる歌詞ではないだろうか。

 アーティスト柴田淳の魅力は、

 壊れやすいガラスのような繊細な感性。

 男性ファンにとっては、守ってあげたくなるような危うさが

 彼女の本質的な魅力なのだ。

 
僕がいなきゃダメになる と思うほど気がかり
 だけど こんな僕にこそ君が必要で・・・


☆そんな危うい、守ってあげたくなるような君だけど

 実は「僕にこそ君が必要」という逆転の構図が

 しばじゅんの歌詞の冴えたところ。

 男女関係を一般的に述べたものとも解釈出来るが

 ここではやはり、アーティストとファンの関係を唄ったものと

 解釈したい。

「僕がいなきゃダメになる」と思って

 ファンはしばじゅんを応援する。

 なぜなら彼女の歌によって

 ファンは大いなる癒やしを与えてもらうのだから。 

 このようにお互いに必要とし合い、支え合う幸福な関係を

 しばじゅんはデビュー曲でファンに呼びかけたのではないか。

 無意識だったかも知れないが。

 
夜が怖いなら 僕は月になる 窓の外からずっと見つめてる
 だからそこにいて ほほえんでいて
 僕の味方でいて


☆このサビの部分は、メロディーも歌詞も秀逸。

 いやこの歌自体が音楽的にはすでに完成されていたように思う。

 デビューシングルがこれだから、

 しばじゅんがいかに才能溢れるアーティストであるかがわかる。

「夜が怖いなら 僕は月になる」

 この逆擬人法表現がうまい。

 その後の彼女の作品に繰り返し現れる「月」へのこだわり。

 並のアーティストなら、君の太陽になる、と唄うところだろう。

 あえて「月」なのだ。

 単純に明るいだけではない。

 闇夜に輝けば、人を導いてくれる明かりにもなろうが、

 「月」はまた人間の狂気や暗い闇の部分を象徴する存在だ。

 決して絵空事のハッピーエンドを唄わない

 リアリスト柴田淳の原点をここに見ることが出来る。

 
まっすぐな目とまっすぐな心 不器用すぎる素直さに
 いつしか戸惑いも覚えたけれど
 想いは愛しさに変わってた


☆この歌が仮説通り、

 しばじゅんの願うファンとの関係を唄ったものだとすれば

 デビューしたてで、邪念もなく、まっすぐに音楽に向き合っている

 自分を唄っていることになる。

 こんな飾らない素のままの自分が受け入れられるだろうか。

 答はもちろんYESである。

 そんな素直なしばじゅんは、ファンにとってこの上なく愛しい。 

 
僕には君しかいない 支えのような存在
 だけど 想い募るほど不安になってゆく


☆ここも仮説を生かせばすんなり聞けるところ。

 しばじゅんを支えてくれるのはファンだけだ。

 どんなアーティストでもそうだと思うけど、

 初々しい新人さんのしばじゅんに言われたら

 そうだよ、と答えてあげたくなる。 

 が、しかし。

 
想い募るほど不安になってゆく


 ここで、彼女は不安になってしまう自分の気持ちを

 素直に告白している。

 何と自分に素直で飾っていないことか。

 ネガティブな感情を隠すことなく、真っ正面から向き合って

 絞り出すような、彼女の音楽の原点がここに見られる。
 
 そんな悩み苦しみながら紡いでいくスタイルだからこそ

 僕たちはしばじゅんに共感し、涙するのに違いない。

 
雨が降ったなら 僕は傘になる 聞かせてあげる 雨音の調べ
 だから消えないで ほほえんでいて
 僕の味方でいて


☆「月」に続いて、しばじゅんお得意のモチーフ「雨」である。

 「雨」が好き、それも「大雨」「雷雨」が好きだなんて

 公言しているアーティストも珍しい。

 そんな彼女の歌には、やはり「雨」が似合うのだ。

 カンカン照りの天気なんてしばじゅんには似合わない。

 「雨」に象徴されるウェットな感性の自分の歌を

 ファンに受け止めて欲しい、「傘」になって欲しい、と唄っている。

 この辺りは、しばじゅんがかなり大胆に自分の音楽の方向性を

 提示しているのだと聞いてみたい。

 その方向性とは、決して明るくもないし、

 元気の出るような方向性ではない。

「月」「雨」に象徴される、人間の心の中の闇の部分を

 唄っていこうと宣言しているのだ。

 
落ち込んだ時は歌ってあげる 君の好きなあの歌を歌おう
 だから行かないで 遠いところへ
 僕の味方でいて
 僕には君が必要だから


☆いよいよラスト。

 ここに来てついに歌唄いとしてのしばじゅんが

 ダイレクトにファンに語りかける感じの歌詞になる。

 その通り。

 僕たちは落ち込んだ時には

 彼女の歌を聴いて元気をもらうのだ。

 このレビューはあくまで、「僕」は柴田淳、「君」はファン

 だという仮説に基づいて書いたものだ。

 もしかすると全く見当外れなのかも知れない。

 他の人が聞けばまた違う解釈が可能であるに違いない。

 このような多様な解釈を許す少し謎を残したところが

 しばじゅんの歌詞の特徴であるように思う。

 しかしあえて言おう。

 
だから行かないで 遠いところへ
 僕の味方でいて
 僕には君が必要だから


 最後のこの3行は、明らかにファンへのメッセージだ。

 どうしてもそう解釈したくなる。

「僕の味方」はしばじゅんのデビュー曲にして、

 最強のファンへのメッセージソングなのだ。

 これをもって了としたい。

 柴田淳歌詞レビュー一覧はコチラ

posted by ゴルゴ40 at 20:52 | 広島 ???? | Comment(0) | TrackBack(0) | しばじゅんソング歌詞レビュー
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