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※新アルバム「親愛なる君へ」より

2008年04月20日

柴田淳「帰り道」歌詞レビュー



(「オールトの雲」より)

「帰り道」


 後悔などしないつもりだったのに・・・
 自分を責め続けた帰り道

 きっとあなたなら きっと君ならって
 全てをわかってくれると信じ
 心の中をしゃべりすぎたせい

 誰より愛して愛されてたのに
 不安で怖くて壊してしまった 二つの影



「帰り道」は、ある意味で柴田淳のファーストアルバム

「オールトの雲」を象徴する曲である。

 それは甘酸っぱくもあり、青臭い、うまくいかなかった恋愛。 

 例えば結婚する男女にはよく、

 片目をつぶっておくようにとアドバイスがなされる。

 常に相手のことを全身全霊で愛する、なんて恋愛は長続きしない。

 完璧な男性も完璧な女性も存在しない。

「アバタもエクボ」だの、「恋は盲目」だのと言う言葉があるように

 いかに相手の嫌な所を見ないようにするか、

 口悪く言えば「妥協」がどうしても必要なのである。
 
 若さゆえの純粋さから、全てをわかってくれると信じて

 心の中をしゃべり過ぎてしまった。

 その先に待つのはわずかなほころびからの恋愛の破綻であり、

 後悔だというのに。

 
 はきちがえていた 愛すという意味
 別れで知るしかなかった二人

 自立してたのに甘えを覚えて
 依存という姿に変わっていった
 気付いた今さら 何ができるだろう・・・

 オレンジの風に背中を押されて
 悲しい顔さえ許してくれない まぶしい夕暮れ



 そう、愛するとは愛されることと同義ではない。

 そこをはき違えて、この人なら全てわかってくれるだろう、

 愛してくれるだろうと、胸のうちを全て明かしてしまっては

 いつのまにか相手に依存する関係に変質していたのだ。 
 
 一方的な関係は破綻するしかない。

 二人に必要だったのは、愛を欲しがるだけでなく、

 お互いに与え合う関係が恋愛の本質だという理解。

 そのために必要なのは完璧を求めるのでなく、

 不具合なものに目をつむり、

 むしろ欠陥をも愛しいと感じる寛容さなのに、

 それを許すには二人は若過ぎ純粋過ぎたのだ。

 それにしても「オレンジの風」という

 しばじゅんの言葉遣いの感性は天性のものか。

 破綻した恋愛、後悔、といったものを一言で鮮やかに表現し、

 この曲のみならず「オールトの雲」というアルバム全体の

 秀逸なシンボルとなっている。


 僕らはこの先 巡り逢う人に
 もう少し上手に嘘をつけるかな

 打ち明けず秘める孤独と強さを
 僕らはどうして得ていけるのかな

 月はもう出ている 



 若さと純粋さゆえに恋愛に破れた二人が、

 大人になることに戸惑いを覚えている。

「嘘も方便」「秘するが花」このような世知辛い

 大人の処世術を身に付けることはある意味汚れてしまうことだから。

 だけどそんな二人の大人への船出に出ているのは、

 光り輝く太陽ではなく、陰影を秘めた月である。

 しばじゅんの作品に繰り返し登場する「月」というモチーフは

 人間の光だけでなく影の部分によりスポットを当てて歌う

 彼女の屈折した、そして魅力的でリアルな世界観に基づいている

 と見て良いだろう。
 
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posted by ゴルゴ40 at 22:07 | 広島 ???? | Comment(0) | TrackBack(0) | しばじゅんソング歌詞レビュー
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